瘰癧加味(るいれきかみ)
瘰癧 / 漢方用語大辞典
主に頸部リンパ節の結核をさしている。小さいものを瘰、大きいものを癧をいう。多くは頸項及び耳の前後に発し、病変は片側に限られるが、両側に同時に発生することもあり、頷下・胸鎖乳突起の前後や腋下などの処まで及ぶことがある。その形状は累々として珠の様で一つ一つ数えることができる。多くは体の弱い小児に見られる。臨床上では、初め一個あるいは数個の大小の豆粒の様な塊を結して、以後しだいに大きくなる。その数も増して3~5個から甚だしいものでは10数個も接して連なっている。皮色は変わらず、これを按じると堅硬であり、これを推せばよく動き、寒熱はなく、痛みもない。長期にわたれば微かに疼痛を覚え、結塊が互いに粘り連なって片を成しその塊を按じても動かない。潰える時には皮色は赤くなり、皮膚の質は比較的軟らかくなり、潰破した後は痰の様な稀薄、あるいは豆汁の様な膿が出て、しばらくは口が塞がらず、穴道や瘻管を形成する。
瘰癧加味:夏枯草・栝楼根・牡蛎・貝母・青皮
〔適応〕咽頭炎 舌下腺炎 耳下腺炎 頸部リンパ節炎 甲状腺炎 頸部の腫瘍
勿誤薬室方函口訣
此方は陳修園の創意にて、加味逍遥散に合して用。余が門には、症によりて小柴胡湯或は順気剤に合て用る也。
*陳修園(1753?-1823) 清代の医師
女科要旨・巻四・雑病・瘰癧
瘰癧者、頸上項側、結聚成核、累累相連、或生於胸脇之間、重者、形如馬刀、更重者、聚成一片堅硬如鉄、俗名鉄板癧、必死、凡癧多起於耳之前後、乃少陰之部位也、女子善懐、毎多憂鬱、宜逍遙散加貝母、夏枯草、牡蠣、瓜蔞子、青皮之類、常服。
またまた新型コロナが蔓延して、多くの方に咽喉の痛み(激痛という方もいる)が起こっている
そして小柴胡湯加桔梗石膏を飲んでも効いていない
医療用漢方エキスではまかなえないこともある
が、漢方はその範疇に限らない
浅田宗伯は勿誤薬室方函口訣で「小柴胡湯に合して用いる」と述べているのはそういうことだ
ウツボグサ(夏枯草は花穂)はちょうど今時期に花が満開を迎える
それが採れる時期と病の流行期は関連があるのだろう